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PCB設計

KiCADの自動配線の使い方

プリント基板のパターン配線は密度が高くなってくると非常に大変ですが、黙々と作業をしているとパズルをやっているような感じになり、ついつい夢中になって多くの時間を費やしてしまいます。

趣味などでやっている場合はそれでも結構楽しく、配線が完了した時は充実感で一杯になりますが、だんだん作り慣れてくると面倒になってくるものです。

そんな時に重宝するのが「自動配線(Auto Routing)」という機能です。

簡単な回路であれば、一瞬で終わってしまうという便利さですので、使い方を紹介したいと思います。

自動配線の前に重要な配線は自分で配線しておく

自動配線はあくまで面倒な細かい配線を自動で行ってくれる機能です。

決して電気的特性を考慮した最適な配線を行ってくれるわけではありません。

その為、電源回路、アナログ回路、高速通信を行う配線等は、ノイズ対策を考慮しながらあらかじめ自分で配線する必要があります。

自動配線ツールのダウンロードとインストール

自動配線に必要なツール

自動配線に必要なツールは2種類あります。それぞれダウンロードとインストール方法を紹介していきます。

  1. Freerouting
  2. JAVA

「Freerouting」のダウンロードとインストール

当ページで載せていたリンクは無効になっているようでした。

ダウンロードは下記の手順で行います(2021/5/23更新)

  1. 下記のリンクをクリック
    Freerouting 1.4.4
  2. 使用しているOSに対応しているものをダウンロード
    私の環境はWindowsなので「freerouting-1.4.4-windows-x64.msi」を選択
  3. ダウンロードしたファイルを実行して「Freerouting」をインストール

kicad_freerouting

JAVAのダウンロードとインストール方法

JAVAの公式サイトを開きます。JAVA公式サイト

  1. JAVAの公式サイトへ行きます。下記のリンクをクリック
    JAVA公式サイト
  2. 「無料Javaのダウンロード」をクリック
  3. 「同意して無料ダウンロードを開始」をクリック
  4. ダウンロードしたファイルを実行して「インストール」をクリック



kicad_java

自動配線ツールの使い方

部品の配置

自動配線は正に自動で全て配線してくれる機能ですが、万能ではありません。

現在配置されている条件の中で配線を行うので、複雑な回路の場合、適当な部品配置だとうまく配線できないことが結構あります。その場合、延々と自動配線プログラムが実行されますが、ずっと終わらない状況が続きます。

それを回避する為には、あらかじめ部品を配線し易いように配置しておく必要があります。

実はこれが結構大変です。

本来はこの部品配置は手動であっても自動であっても重要な工程の一つですが、手動であれば配置を修正しながらできても、自動配線だとそれができないので部品配置が命といっても過言ではありません。

自動配線をやってみて、あらためて部品の配置が重要だなぁと感じると思います。

ある意味、プリント基板設計は部品配置が全てだと思います。

部品配置に失敗してもすぐにやり直せます。

よほど高密度なプリント基板でなければ、数分で完了するので、どんどんチャレンジしてみてください。

実際私も何度も何度もやり直しながら行いましたが、それでも自分で配線するより遥かに短時間で完成しました。

配線情報(dsnファイル)を出力する

最初に現在の基板設計情報を出力する為に、「dsn」ファイルを出力します。

  1. KiCADのPCBエディタ(Pcbnew)画面で「ファイル」→「エクスポート」→「Spectra DSN」をクリック
  2. ファイル名を指定して保存をクリック

保存先のフォルダやファイル名には日本語を含まないように注意してください

kicad_DSNファイル出力

自動配線ツール「Freerouting」の実行

最初にダウンロードした、「Freerouting.exe」を起動します。

kicad_Freerouting起動

  1. KiCADで出力したDNSファイルを選択します
    ※くれぐれも日本語のフォルダ名およびファイル名は無いことを確認
  2. 「Autorouter」をクリック
  3. 「completed」が表示されれば完了



kicad_Freerouting実行

自動配線の実行状況

kicad_自動配線

メモ

もし、なかなか「completed」が表示されない場合は、現在の部品配置状況が悪い為に配線が困難な状況になります。プログラムがずっと配線を試みようとしているけど終わらないという無限ループになっています。

そんな時は、部品配置等を見直す必要があります。

配線結果(sesファイル)を出力する

自動配線が完了したら「SESファイル」を出力します。

  1. メニューの「File」を選択
  2. 「Export Specctra Session File」を選択してファイル出力します

kicad_SESファイル出力

メモ

SESファイルの出力フォルダは、インポートしたDNSファイルと同じフォルダになります。

私の場合、日本語禁止ということで「C」ドライブの直下にDNSファイルを保存していましたが、SESファイルを出力する際にエラーが発生しました。

DNSファイルの保存先は「C」ドライブの直下を避けた方がいいでしょう。

KiCADに配線結果をインポート

「Freerouting」でSESファイルを出力したら、今度はKiCADでインポートします。

  1. KiCADのPCBエディタの上部メニュー「File」を選択
  2. 「インポート」を選択
  3. 「Specctra セッション」を選択してインポート

kicad_SESファイルインポート

自動配線後の手直し処理

自動配線は非常に便利な機能ですが、配線は雑です。

そのままでも回路としては機能しますが、几帳面な人は気になる雑さがありますので、必要に応じて手直ししましょう。

【雑な例1】

配線がジグザクします

kicad_自動配線は雑1

【雑な例2】

配線の角や分岐は直角になる

まとめ

KiCADの自動配線は、あくまで配線してくれるだけの機能ですので、過信は禁物です。

ですが、少し複雑な回路になってくると配線を通すだけでも難しくなってくるので非常に便利な機能です。

性能が必要な場合や、アートワーク(芸術)と言われるだけに見た目を気にする場合は最終的には手動で微調整する必要がありますが、必要に応じて自動配線はどんどん使った方が便利だなと思います。

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